好みの彼に弱みを握られていますっ!
33.彼には彼なりの理由があったわけで
「それで、鯖の味噌煮込み定食のご感想は」
宗親さんに、腰をしっかりホールドされながらフラフラ歩きつつ、彼のお顔を見上げて尋ねたら「すみません、実はまだ食べていないんです」と吐息を落とされた。
「えっ。何れれしゅか」
「キミが……心配だったからに決まってます」
怖い顔で見下ろされて、アレコレ酷い状態のまま家を出てきたことを思い出して。
「しゅみませ……」
思わず原因は宗親さんだったことを失念して謝ってしまったと同時、カラランと言う聞き慣れたドアベルの音がして、私は「ん⁉︎」と思う。
「Misoka?」
琥珀色の照明と、落ち着いたクラシック音楽。
アルコールと食べ物と、恐らくお客さんが纏う煙草の残り香――店内は禁煙だから――などが入り混じったこの独特な雰囲気は、今日来る予定にしていてドタキャンしてしまったMisokaに違いなくて。
「明智、今日は本当にお世話になりました」
私を伴ったまま真っ直ぐカウンターに近付いた宗親さんが、カウンター内に立つマスターに声を掛けた。
明智さんと呼ばれたマスターが、こちらにチラリと視線を向けるなり「織田、マジで心配掛けるなよな。こっちも今夜は貴重な予約客を失って大損害だ」と苦笑する。
宗親さんに、腰をしっかりホールドされながらフラフラ歩きつつ、彼のお顔を見上げて尋ねたら「すみません、実はまだ食べていないんです」と吐息を落とされた。
「えっ。何れれしゅか」
「キミが……心配だったからに決まってます」
怖い顔で見下ろされて、アレコレ酷い状態のまま家を出てきたことを思い出して。
「しゅみませ……」
思わず原因は宗親さんだったことを失念して謝ってしまったと同時、カラランと言う聞き慣れたドアベルの音がして、私は「ん⁉︎」と思う。
「Misoka?」
琥珀色の照明と、落ち着いたクラシック音楽。
アルコールと食べ物と、恐らくお客さんが纏う煙草の残り香――店内は禁煙だから――などが入り混じったこの独特な雰囲気は、今日来る予定にしていてドタキャンしてしまったMisokaに違いなくて。
「明智、今日は本当にお世話になりました」
私を伴ったまま真っ直ぐカウンターに近付いた宗親さんが、カウンター内に立つマスターに声を掛けた。
明智さんと呼ばれたマスターが、こちらにチラリと視線を向けるなり「織田、マジで心配掛けるなよな。こっちも今夜は貴重な予約客を失って大損害だ」と苦笑する。