好みの彼に弱みを握られていますっ!
 宗親(むねちか)さんが小さく吐息を落としてから

「さぁ、春凪(はな)。そろそろ時間です。【ほたるさん】のお家へ向かいましょうか」

 って言ってきて――。

 今までほたるのこと、〝お友達〟としか呼んでこなかったのにこれ、絶対わざとだよねっ⁉︎って思って宗親さんのお顔を振り仰いだら、これでもかっ!ってくらいの腹黒スマイル。


「お、織田(おりた)っ、お前っ……」

 明智(あけち)さんがソワソワするのを満足そうにニッコリ微笑んで見返すと、「申し訳ない。ほたるさんの住所とか、僕の方が先に知っちゃうね」って物凄い意地悪を言うの。

「あ、あにょっ!」


 私が慌てるのを完全無視して、宗親さんは「行きましょう」って肩を抱くようにして、半ば無理矢理Misoka(ミソカ)から連れ出した。
< 473 / 571 >

この作品をシェア

pagetop