好みの彼に弱みを握られていますっ!
 もう、私の気持ち、隠さなくてもいいんだよね?
 ちゃんと宗親(むねちか)さんにこの想いをぶつけてもいいんだよね?

 私は期待と羞恥(しゅうち)に瞳を潤ませながら、初めて宗親さんに本心を吐き出した。

「……好きです! 宗親さんが大好きです! そのお顔もお声も、掴みどころのない性格も……。何もかもが大好きですっ!」

 胸の内に秘めて押し殺して、押し潰してギュウギュウに締め付けて……。
 絶対に表に出してはいけない感情だと思っていたのに。

 私、ちゃんと愛する人に「好き」って伝えられたよ?

 これって凄く幸せなことじゃない?

 そう思ったからかな。

 自然と涙がポロポロ溢れて止められなくなって――。

「宗親さ、のことっ。どうし、よぉ……もな、く……大、好き……な、んです……。やっと……気、持ち……ちゃんと、伝、えら、れましたぁ〜っ!」


 私は宗親さんにギューッと抱きしめられながら子供みたいに声を出して泣いた。
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