好みの彼に弱みを握られていますっ!
「――本当にすみません。臆病な僕が真っ向勝負を避けて愚策に走ってしまったせいで、春凪(はな)に随分としんどい思いをさせてしまったみたいですね。僕が……あんな回りくどい真似をせず、最初からキミに『好きです。結婚を前提に付き合ってください』って伝えられていたら……。こんなことにはならなかったのに」

 宗親(むねちか)さんのバカっ!
 本当にその通りですよぅ!

 そう言いたいのに……。

 私が責めた途端しゅん、としたお顔をなさって素直に謝られてしまったから。

 私は毒気を抜かれて、それ以上は何も言えなくなってしまった。


「僕より【八つも年下】な春凪(はな)は……僕がキミに出会った時には既に【同級生の】男と付き合っていて……Misoka(ミソカ)ではその男のことをいつも愛しそうに見つめていたから……。キミがフリーになったのを知ってチャンスだって思ったくせに……どうしても正攻法で行くことが出来ませんでした。ごめんなさい、春凪(はな)。――情けない僕をどうか許して?」

 私はそれに小さく頷きながらも問わずにはいられない。

「宗親さん。コウちゃんと一緒にいた頃の私を……知ってるの?」

 って。
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