好みの彼に弱みを握られていますっ!
Misoka(ミソカ)の支払いも、いつもキミがしていましたよね? ――彼の分まで全部」

 そんなところまで見られていたんだと知って、私は恥ずかしくて堪らなくなる。

「は、初めての彼氏だったので……その、どんな風に接するのが正解なのかよく分からなかったんです。ほ、ほらっ。うち、家があんななのでいずれは親が決めた人と結婚させられるんだろうなって。必死に抵抗するふりはしていましたけど……好きな人と結婚すること、実際には薄々諦めていましたし……それまでの間くらい、自由恋愛の思い出をたくさん作るぞー! あわよくばコウちゃんにあの家から連れ出してもらうぞー!みたいに……その……意地になってました」

 宗親(むねちか)さんは柴田(しばた)の家が抱えていた因縁をご存知だったから。
 だから誰にも話したことのない、あの当時のそんな馬鹿な本音を話してみてもいいかなって思ってしまった。

 ……それに、宗親さんのお陰で私、その呪縛から解き放たれたんだもの。

 ……宗親さんだって、さっきから相当恥ずかしい心情吐露をしてくれている。

 私も少しぐらい浅はかだった自分をお見せしてもいいよね?って思ってしまった。
< 486 / 571 >

この作品をシェア

pagetop