好みの彼に弱みを握られていますっ!
「春凪、お願いですから少し落ち着いて? 大丈夫だから」
下着姿の私を、宗親さんが鏡から覆い隠すみたいに真正面からギュッと抱きしめて、切なくなるぐらい苦しそうな声音でそうおっしゃる。
私は泣きながら、目の前の宗親さんにしがみついた。
――涙と鼻水が彼の胸元を汚してしまうかも知れない。
そう思うのに、泣くのも抱きつくのもやめられなくて。
宗親さんが心底愛しい、と伝えてくれるみたいに、そんな私の身体を包み込んで下さるのが堪らなく心地よかった。
「春凪、お風呂に入りましょうか」
どのくらいその状態でいたのか分からない。
でも泣きすぎて頭がボーッとしてしまう程度にはそうしていたのかな。
泣き疲れて判断能力の鈍った頭は、日頃だったら絶対に「不可」だと判断するはずの宗親さんとの入浴を「可」にしてしまった。
小さくコクッと頷いたら、私から腕を緩めた宗親さんが、あっという間に裸になって。
彼の、彫刻像のように磨き抜かれた肉体美に照れてドギマギしているうちに、私もなけなしの下着を取り払われていた。
もちろん一線を超えたことがある相手だ。
裸で抱き合ったことだって何度もあるはずなのに、薄暗い寝室と違って煌々と明るい照明の下で宗親さんと肌を触れ合わせているんだと思ったら、必要以上にドキドキしてしまう。
恥ずかしさと照れ臭さにギュッと縮こまった私をほぐすみたいに、浴室に入るなり宗親さんが所在なく立ち尽くす私の唇に優しく口付けを落とした。
お湯になるのを待つためかな。
そっぽを向かせたままコックを捻られたシャワーヘッドから、まるでノイズのようにシャーッという流水音が流れ続けている。
それがぼんやりとした頭に心地よく響いてきて、私は宗親さんからのキスにうっとりと身を委ねて。
宗親さんの唇が、首筋に降りてきたのを感じて「んっ」と小さく喘いだら、「春凪は本当に可愛いね。大好きです」と、宗親さんが熱のこもった声をすぐ耳元で吹き込んでくる。
大好きな宗親さんの低音イケボで告げられる「大好き」はじんわりと私の心に染み込んで、傷ついた心を優しく包み込んだ。
まるで麻薬みたいな彼の声にうっとりと身を委ねていたら、チクッとした甘やかな痛みが首筋に走って、私は宗親さんがそこにキスマークを残したんだとぼんやりと思った。
その行為は首筋から手首、手首から胸へと続いて。
いつしか私は、直接当てられないままに湯気とノイズだけを撒き散らすシャワーで温められた壁に押し付けられるようにして、宗親さんからのキスを享受していた。
肌にチクッとした痛みが走るたび、康平から与えられた屈辱が吸い出されていくようで嬉しくて。
「宗親さ……」
――お願い。もっとして?
下着姿の私を、宗親さんが鏡から覆い隠すみたいに真正面からギュッと抱きしめて、切なくなるぐらい苦しそうな声音でそうおっしゃる。
私は泣きながら、目の前の宗親さんにしがみついた。
――涙と鼻水が彼の胸元を汚してしまうかも知れない。
そう思うのに、泣くのも抱きつくのもやめられなくて。
宗親さんが心底愛しい、と伝えてくれるみたいに、そんな私の身体を包み込んで下さるのが堪らなく心地よかった。
「春凪、お風呂に入りましょうか」
どのくらいその状態でいたのか分からない。
でも泣きすぎて頭がボーッとしてしまう程度にはそうしていたのかな。
泣き疲れて判断能力の鈍った頭は、日頃だったら絶対に「不可」だと判断するはずの宗親さんとの入浴を「可」にしてしまった。
小さくコクッと頷いたら、私から腕を緩めた宗親さんが、あっという間に裸になって。
彼の、彫刻像のように磨き抜かれた肉体美に照れてドギマギしているうちに、私もなけなしの下着を取り払われていた。
もちろん一線を超えたことがある相手だ。
裸で抱き合ったことだって何度もあるはずなのに、薄暗い寝室と違って煌々と明るい照明の下で宗親さんと肌を触れ合わせているんだと思ったら、必要以上にドキドキしてしまう。
恥ずかしさと照れ臭さにギュッと縮こまった私をほぐすみたいに、浴室に入るなり宗親さんが所在なく立ち尽くす私の唇に優しく口付けを落とした。
お湯になるのを待つためかな。
そっぽを向かせたままコックを捻られたシャワーヘッドから、まるでノイズのようにシャーッという流水音が流れ続けている。
それがぼんやりとした頭に心地よく響いてきて、私は宗親さんからのキスにうっとりと身を委ねて。
宗親さんの唇が、首筋に降りてきたのを感じて「んっ」と小さく喘いだら、「春凪は本当に可愛いね。大好きです」と、宗親さんが熱のこもった声をすぐ耳元で吹き込んでくる。
大好きな宗親さんの低音イケボで告げられる「大好き」はじんわりと私の心に染み込んで、傷ついた心を優しく包み込んだ。
まるで麻薬みたいな彼の声にうっとりと身を委ねていたら、チクッとした甘やかな痛みが首筋に走って、私は宗親さんがそこにキスマークを残したんだとぼんやりと思った。
その行為は首筋から手首、手首から胸へと続いて。
いつしか私は、直接当てられないままに湯気とノイズだけを撒き散らすシャワーで温められた壁に押し付けられるようにして、宗親さんからのキスを享受していた。
肌にチクッとした痛みが走るたび、康平から与えられた屈辱が吸い出されていくようで嬉しくて。
「宗親さ……」
――お願い。もっとして?