好みの彼に弱みを握られていますっ!
定期的。餌付けみたいに大好きなチーズとそれに合うお酒を振舞って頂けるのも、私にたかるばかりだった元カレから比べると信じられないほどの好待遇と甘やかしだ。
婚約指輪の件にしたってそう。
私の傷口に塩を塗らないよう、わざわざ形を変えて下さって。
胸元と耳元を飾る、婚約指輪に使われていたダイヤがあしらわれたアクセサリーに触れて、私は彼の愛情の深さを実感する。
ふと左手薬指に視線を落とせば、家事の妨げにならないようにという配慮で滅茶苦茶シンプルなデザインにして下さった宗親さんとお揃いの結婚指輪がキラリと光る。
いつも宗親さんに頂いたものを身に着けていられるのって、何て幸せなんだろう。
離れていても一緒だと思わせてくれるグッズって本当にいい!
宗親さんはこんな普通の女の子でしかない、取り立てて取り柄のない私を妻にまでして下さった。その上でこれでもか!と言うぐらいの深い愛情で毎日私を包んで下さっている。
なのに――。
考えてみたら私、宗親さんに頂くばかりで何一つお返し出来ていなかった。
これって最悪じゃない?
「お返し?」
フルフルと震える手でリボンの掛かった小箱を差し出す私に、宗親さんが怪訝そうな声を出す。
「はいっ。頂くばかりで私、何もお返し出来ていなかったので――」
再度そう言った私に、宗親さんが小さく吐息を落としたのが分かった。
「宗親、さん……?」
その溜め息にギュッと心臓を握られて、不安が一気に背中を駆け上がる。
私、何か間違えた?
オロオロと不安を隠せないままに宗親さんを見上げたら、「僕はキミに何か返して欲しいなんて思ったことないんだけどな?」と悲しそうな顔をされてしまった。
「えっ。あの、でもっ」
それでも尚も言い募ろうとした私の唇をそっと人差し指の腹で押さえると、宗親さんが言葉を続ける。
「僕がすることで春凪が変に負い目を感じるのは凄く困る。キミを甘やかしたいのは僕のワガママだし、ずっと恋焦がれていた春凪に色々したいって思うのだってそうだ。正直に言わせてもらうと、僕は春凪がそばにいて笑っていてくれるだけでこの上なく幸せなんだ。お返しをしてもらうようなことは何もしていない。――寧ろ」
婚約指輪の件にしたってそう。
私の傷口に塩を塗らないよう、わざわざ形を変えて下さって。
胸元と耳元を飾る、婚約指輪に使われていたダイヤがあしらわれたアクセサリーに触れて、私は彼の愛情の深さを実感する。
ふと左手薬指に視線を落とせば、家事の妨げにならないようにという配慮で滅茶苦茶シンプルなデザインにして下さった宗親さんとお揃いの結婚指輪がキラリと光る。
いつも宗親さんに頂いたものを身に着けていられるのって、何て幸せなんだろう。
離れていても一緒だと思わせてくれるグッズって本当にいい!
宗親さんはこんな普通の女の子でしかない、取り立てて取り柄のない私を妻にまでして下さった。その上でこれでもか!と言うぐらいの深い愛情で毎日私を包んで下さっている。
なのに――。
考えてみたら私、宗親さんに頂くばかりで何一つお返し出来ていなかった。
これって最悪じゃない?
「お返し?」
フルフルと震える手でリボンの掛かった小箱を差し出す私に、宗親さんが怪訝そうな声を出す。
「はいっ。頂くばかりで私、何もお返し出来ていなかったので――」
再度そう言った私に、宗親さんが小さく吐息を落としたのが分かった。
「宗親、さん……?」
その溜め息にギュッと心臓を握られて、不安が一気に背中を駆け上がる。
私、何か間違えた?
オロオロと不安を隠せないままに宗親さんを見上げたら、「僕はキミに何か返して欲しいなんて思ったことないんだけどな?」と悲しそうな顔をされてしまった。
「えっ。あの、でもっ」
それでも尚も言い募ろうとした私の唇をそっと人差し指の腹で押さえると、宗親さんが言葉を続ける。
「僕がすることで春凪が変に負い目を感じるのは凄く困る。キミを甘やかしたいのは僕のワガママだし、ずっと恋焦がれていた春凪に色々したいって思うのだってそうだ。正直に言わせてもらうと、僕は春凪がそばにいて笑っていてくれるだけでこの上なく幸せなんだ。お返しをしてもらうようなことは何もしていない。――寧ろ」