好みの彼に弱みを握られていますっ!
「あ、あの、やっぱり……」
ご愛用の品があるのに、こんなの贈られても迷惑だよね。
そんなの、いつも宗親さんと一緒に居たら嫌と言うほど分かっていたはずなのに。
それを自分色にほんのちょっぴりでいいから塗り替えてしまいたいと思ってしまったと言ったら、呆れられてしまうかな。
宗親さんの腕の中、オロオロとする私を彼がギューッと抱きしめてきた。
「これ、春凪が選んでくれたの?」
そのまま耳孔に吐息を吹き込むみたいに問われて、私は背筋をゾクリとした快感に撫でられながら懸命に頷く。
「え、選んだって言うか……お、お店の方にその……ちょ、調合して頂いた、んです……」
私いま、絶対耳まで真っ赤になってしまっている。
髪の毛をかき上げられていなくて良かった、って心底思いながらしどろもどろに応えたら、宗親さんが箱の中から香水の入った小瓶を取り出しながら「調合?」ってつぶやいて。
「い、イメージをスタッフさんに伝えたら……その、それにぴったりな香りを調香師さんが作ってくださって……それで、その……」
私が「こういう香りが作りたいんです」と漠然としたイメージをエバリュエーターと呼ばれるクリエーターさんにお伝えしたら、その方がそれを具体的な形に明文化して調香師さんに指示してくださって。
手作り香水の事なんてさっぱり分からない私は、出来上がった香水を入れる容器や、それを飾る装飾――シールやキャップに至るまで、何から何までエバリュエーターさんに相談しまくった。
「……滅茶苦茶嬉しいんですけど」
宗親さんが私を抱きしめたまま小さな声でそうつぶやいて私の肩にそっと額を乗っけてくる。
私は聞こえるか聞こえないか分からないような彼の声音に、思わず肩口の宗親さんに触れて思わず息を呑んだ。
「――っ!」
宗親さん、ひょっとして物凄く照れてるっ!?
お顔は伏せていらっしゃるし、間近過ぎて首をひねってみても表情までは見えない。けれど、何の気なしに伸ばした指先が宗親さんの耳に触れた途端、私、その熱さに驚いたの。
「宗親さん……?」
ずっと耳に触れていたら彼の熱が伝染ってきてしまいそうで、私は指先を慌てて肩の辺りをくすぐる宗親さんの髪の毛に転じさせた。
触るともなしに宗親さんの髪の毛を指先に遊ばせながら呼び掛けたら、耳元で小さく吐息を落とす気配がして。
「嗅いでみてもいい?」
ふっと肩口が軽くなって、宗親さんが顔を上げられたのが分かった。
「……もちろんです」
そう言っては見たものの、宗親さんの余りにも嬉しそうな反応に物凄く彼の中の期待値を上げてしまっているような気がして。気に入ってもらえなかったらどうしよう?とにわかに不安になる。
「あ、あのっ、もし気に入らなったら遠慮なく言ってください」
それで予防線を張るみたいにそう続けたら、クスッと笑われてしまった。
ご愛用の品があるのに、こんなの贈られても迷惑だよね。
そんなの、いつも宗親さんと一緒に居たら嫌と言うほど分かっていたはずなのに。
それを自分色にほんのちょっぴりでいいから塗り替えてしまいたいと思ってしまったと言ったら、呆れられてしまうかな。
宗親さんの腕の中、オロオロとする私を彼がギューッと抱きしめてきた。
「これ、春凪が選んでくれたの?」
そのまま耳孔に吐息を吹き込むみたいに問われて、私は背筋をゾクリとした快感に撫でられながら懸命に頷く。
「え、選んだって言うか……お、お店の方にその……ちょ、調合して頂いた、んです……」
私いま、絶対耳まで真っ赤になってしまっている。
髪の毛をかき上げられていなくて良かった、って心底思いながらしどろもどろに応えたら、宗親さんが箱の中から香水の入った小瓶を取り出しながら「調合?」ってつぶやいて。
「い、イメージをスタッフさんに伝えたら……その、それにぴったりな香りを調香師さんが作ってくださって……それで、その……」
私が「こういう香りが作りたいんです」と漠然としたイメージをエバリュエーターと呼ばれるクリエーターさんにお伝えしたら、その方がそれを具体的な形に明文化して調香師さんに指示してくださって。
手作り香水の事なんてさっぱり分からない私は、出来上がった香水を入れる容器や、それを飾る装飾――シールやキャップに至るまで、何から何までエバリュエーターさんに相談しまくった。
「……滅茶苦茶嬉しいんですけど」
宗親さんが私を抱きしめたまま小さな声でそうつぶやいて私の肩にそっと額を乗っけてくる。
私は聞こえるか聞こえないか分からないような彼の声音に、思わず肩口の宗親さんに触れて思わず息を呑んだ。
「――っ!」
宗親さん、ひょっとして物凄く照れてるっ!?
お顔は伏せていらっしゃるし、間近過ぎて首をひねってみても表情までは見えない。けれど、何の気なしに伸ばした指先が宗親さんの耳に触れた途端、私、その熱さに驚いたの。
「宗親さん……?」
ずっと耳に触れていたら彼の熱が伝染ってきてしまいそうで、私は指先を慌てて肩の辺りをくすぐる宗親さんの髪の毛に転じさせた。
触るともなしに宗親さんの髪の毛を指先に遊ばせながら呼び掛けたら、耳元で小さく吐息を落とす気配がして。
「嗅いでみてもいい?」
ふっと肩口が軽くなって、宗親さんが顔を上げられたのが分かった。
「……もちろんです」
そう言っては見たものの、宗親さんの余りにも嬉しそうな反応に物凄く彼の中の期待値を上げてしまっているような気がして。気に入ってもらえなかったらどうしよう?とにわかに不安になる。
「あ、あのっ、もし気に入らなったら遠慮なく言ってください」
それで予防線を張るみたいにそう続けたら、クスッと笑われてしまった。