好みの彼に弱みを握られていますっ!
8.それって絶対計画的犯行ですよね?
 駐車場奥にある入り口前に織田(おりた)課長が立つと、ピッと微かな音がして自動ドアが開いた。

 鍵を取り出した気配も、暗証番号を入力した様子も、指紋認証などをなさった感じもなくて。

 これだけ大きなタワーマンションだもの。
 まさか誰でも彼でも建物内に入るのにフリーパスということはないと思う。

 私が前を歩いていたら、ドアは恐らく開かなかったはずだもの。


 だとしたら……。

 キョロキョロと辺りを見回したら、やっぱりあった!
 天井付近にカメラらしきもの!

 これはもしや顔認証というやつですかっ?と、慣れないシステムにやたらめったらドキドキする。

 あのセンサーはきっと、私のことも見てますよね!?とか考えたら、喉の奥がカラカラに渇いてくるようで。


「何をキョロキョロしているんですか?」

 クスッと吐息まじりに笑われて、私は素直に感想を口にした。

「い、今のっ。もしかして、顔認証ですかっ!?」

「――? ええ、そうですが。それが何か?」

 当然の顔をして――。いや、何なら何か問題でも?みたいな表情でサラリと返されて、私は言葉に詰まる。
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