婚約者に裏切られたその日、出逢った人は。

 はあはあと、朝海が荒い息をつく間に、聡志は準備を済ませたらしい。
 両足を開かれ、割り込んできた彼の体の、隠しようもない欲望の証が擦り付けられる。その存在感に朝海は思わず目をやってしまい、見えたモノの大きさに息を吞んだ。
(あれが、入るの……?)
 はっきり言って、婚約者だと思っていたあの男よりも大きい。そんなモノが自分の中に入るのかどうか、気がかりで仕方なかった。もしかしたら壊れてしまうのではないか。
 不安が伝わったのか、舌なめずりをするような顔つきだった聡志が、ふと表情を和らげる。
 手をこちらに伸ばし、朝海の頬に触れ、そっと撫でた。その優しい手つきが、大丈夫だと言っているように感じられて、少しだけ安心する。
 聡志の切っ先が、朝海の秘所の入口を擦ったかと思うと、ゆっくりと中へ入り始めた。身構えてはいたけどそれはやはり大きくて、朝海の壁をきしませ震えさせた。
「ん、うっ……あ……」
 痛みはないが、経験のないサイズが入ってくる違和感は強い。その先端が最奥に触れた時には、朝海は圧迫される苦しさに息を詰めていた。
「…………っ」
「苦しいのか?」
 聡志の気遣う口調にも、うまく答えられない。
「ちょっと大きかったか……悪い。でも朝海の中、すごくいい」
 本当に気持ちよさそうに息を吐いて、聡志が言う。その言葉に、朝海は大きな幸福を感じた。
 彼が、朝海の中で感じてくれている──ならば少しぐらい苦しいのも我慢できる。そう思った。
 嬉しさで、朝海は聡志に手足全部で抱きついた。途端に、今度は聡志が「……っ」と息を詰めてうめく。
「そんな、締めるな。我慢できなくなるから」
「我慢、しないで」
 聡志の訴えに、朝海は首を振った。
 我慢しないでほしい。自分の体でもっと、感じてほしい。感じさせてほしい。
 そんな思いを込めて、朝海は目の前の男を見つめる。
「……いいのか? なら、動くぞ」
 しばらくの沈黙の後、宣言した聡志は、自分のモノを一度、入り口近くまで引き戻した。
 そして息を吸い込み、再び最奥へと突き入れてくる。膣壁が強く擦られる感覚に、朝海の腰が震えた。
「あぁっ!」
 ほとばしった嬌声に背中を押されたかのように、聡志は腰を打ち付ける速度を上げた。
 これ以上ないほど潤った結合部が、ぐちゅぐちゅと音を立て、蜜を滴らせる。
 突かれるたびに、朝海の中の苦しさは遠ざかり、代わりに快感が増していく。
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