俺の気持ちに気づけよ、バーカ!
そして、俺の部屋の隣。
この家の御曹司で
俺の親友・雨璃の部屋からは
不快、不愉快、耳ざわり
人間界に未練タラタラ幽霊みたいな、
ナヨナヨ声が聞こえてくる。
『うるるんと
離れたくないのにぃぃぃ』
『夜になったら、またうるるんと
一緒にいられるけれど、
やっぱり寂しいよぅぅぅ』
死神彼女と、夜から朝まで
同棲をしている雨璃。
今は彼女と目覚めて、
別れを惜しみあう時間だ。
俺には死神女の声が聞こえない。
だから、雨璃の涙声だけが
壁を通り抜けて聞こえてくる。
死神ってフレーズ登場に、
この小説を読む気が失せたって?
まぁ、安心してくれ。
俺の恋バナには、
異世界とかメルヘンとか
そういう非現実的な出来事は
起きねぇから。
もちろん片思い中の璃奈も
100%人間。
雨璃の彼女と違って、
死んでないから間違いない。