俺の気持ちに気づけよ、バーカ!


部屋の隅で
優くんの髪を乾かし終えた桜ちゃんと
目が合った。

でも、それも一瞬だけ。


璃奈と目が合ったわ~って
がっかりしたような顔で

サッと絡んだ視線を
ほどかれてしまった。


やっぱり桜ちゃんって、私に興味がない。

全くない。なさすぎる。


大好きな亮くんと優くんの姉。

それくらいにしか、私のことを
思っていないんだろうなぁ。



ドライヤーのコンセントを壁から抜き

コードをドライヤーに巻き付けながら

部屋を出て行く桜ちゃん。


彼の背中を見つめながら

『彼女さん
 どんな感じの人なんだろう?』

自分の脳内に
美女たちを次々に登場させてしまい

平凡な自分と比べて
惨めな気持ちに浸らずにいられない。

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