俺の気持ちに気づけよ、バーカ!
ああ~~~~。
心の中で叫びながら
しゃがみ込み、
顔に手を当てる俺。
覚悟を決め
すっと立ち上がり
コンコン
控えめにドアをノックする。
『余裕のある男はモテる』
対・璃奈用でこっそり買った
モテ男術の本に書いてあった
恋愛へたれの救済フレーズ。
深呼吸しながら
心の中で何度もつぶやいてみる。
『余裕のある男は……
余裕のある男は……』
つぶやき5回目で
ドアが少しだけ開いた。
ほんと少し。
俺の小指の長さくらい。
璃奈の真ん丸な瞳が
片方だけ見えてるくらい
……って。