俺の気持ちに気づけよ、バーカ!


璃奈が
俺の胸に倒れ込んできた。

今。now。現在進行形。

真っ赤に染めあがった
璃奈の顔が、
キスしそうなほどの
至近距離にある。


脳内妄想の
ワイルド桜牙だったら……

『倒れてきてんじゃねぇよ』

キツメの捨て台詞を吐いて、


『オマエの唇
 食べたくなっただろうが!』

璃奈の頭の後ろに
手のひらを当てて

俺の唇に押し付けるように、
璃奈の顔を
強引に引き寄せるところだが

俺はザ・ヘタレ。

璃奈に嫌われることを
恐れすぎて、
何も行動できない
豆腐メンタルの持ち主。

唇を奪うどころか、
抱きしめる勇気さえない。

< 169 / 332 >

この作品をシェア

pagetop