俺の気持ちに気づけよ、バーカ!


「店長、お先に休憩を
 いただいてます」

私は立ち上がって
軽くペコリ。


「もう律儀なんだから、璃奈ちゃんは。
 休憩中でしょ。
 わざわざ立って挨拶なんか
 しなくていいのに~」


いやいや、そんなわけには。

「仕事には礼儀が大事だって、
 祖母に言われていますので」

「ステキなおばあちゃんと
 一緒に暮らすと、
 璃奈ちゃんみたいな
 気配り上手な子に育つんだね」


「将来私が子育てする時の
 教訓にするよ」と
笑顔を追加した店長は

私の前に座り
テーブルに頬杖をついている。


「璃奈ちゃんさぁ~」

「なんですか?」

「来年から正社員でしょ?
 クリスマスは働きづめに
 なっちゃうんだから、
 今年ぐらい休んでくれても
 良かったのに」


タンブラーを口に当て
コーヒーを飲む店長を見つめ

『ほんと、
 自己犠牲型の人間なんだから』

と、心配が膨らむ私。


今日だって

スタッフには
お昼休憩をちゃんと用意して
自分は軽い休憩だけ。

店長は閉店まで
ぶっ通しですよね?

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