俺の気持ちに気づけよ、バーカ!
☆桜牙side☆
雨璃の家の、料理長が作った弁当。
4人分をカバンに詰めこむ俺。
1泊2日のお泊りセットも
準備オッケーっと。
ジャージの上に
防寒バッチリのベンチコートを羽織って
首にはオレンジ色のマフラーを
荒っぽくグルグルっと。
黒光りするワンボックスカーを運転して、
璃奈の家に到着した。
車から降りた俺の耳に
飛び込んできたのは、
駐車場から玄関まで続く
長いアプローチを、かける足音。
璃奈が俺の出迎えに
来てくれたのか?
ニヤ突きながら
心を弾ませたのに……
「コーチ、おっはよ~」
「何してたんだよ。俺たちの迎え、
いつもより2分遅いじゃんかぁ」
俺の目に映ったのは、
ユルフワ髪をなびかせる
女子高生天使ではない。
小5のマセガキ双子。
俺が待ち望んだ笑顔は、
サッカーボールを抱えた
お前らのじゃねぇよ。
吐き出した俺のため息が
白く凍る。