俺の気持ちに気づけよ、バーカ!


思い起こせば……

俺ってまだ、璃奈の手を
握ったことってないよな?


付き合う前までは
無理だった。

手を握る勇気がなかった。

ヘタレだって
自分で自分を認めるわ。


でも数時間前

璃奈が俺のことを
好きだってわかり

恋人同士になって

『どのタイミングで
 璃奈の唇を奪ろうかな~?』

なんて
俺の脳内が彼氏気取りで
膨れていたくせに

カフェからお墓に向かう時も

指輪を買いに行く道中も

今、璃奈の家まで
歩いているこの時間も

俺のヘタレは継続中。

キスどころか
手を握る勇気さえ
湧き出てこない。
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