俺の気持ちに気づけよ、バーカ!


いつもなら
目を吊り上げて

『バ~カ。俺はそんな
 ダサい男じゃねぇし』って

璃奈に文句を
ぶつけるとこだが


肩同士がぶつかりそうな
至近距離で

璃奈が、心配そうな瞳を
揺らめかせてきたから


――その表情
  マジで大好きなヤツだわ……


大好きな女をイジる気持ちが
シュルル~と縮んでいく。


その代わり


「オマエの隣にいる男……
 本当に……
 俺でいいわけ……?」


情けない言葉が
俺の口から
ポロっとこぼれてしまった。


目を見開いた璃奈。

でも、俺の方が驚きは強い。

うわぁぁぁぁ~と
心の中では
激しくテンパりまくり。


なんとか
顔の温度は平熱の
無表情キープは
保たれてはいるものの


「まぁ。璃奈が
 俺以上に惚れる男なんて、
 この世に存在しねぇよな」と

自信過剰王子を
演じるのも、
仮面が剥がれ落ちないか
バクバク状態。

< 281 / 332 >

この作品をシェア

pagetop