俺の気持ちに気づけよ、バーカ!
いつもなら
目を吊り上げて
『バ~カ。俺はそんな
ダサい男じゃねぇし』って
璃奈に文句を
ぶつけるとこだが
肩同士がぶつかりそうな
至近距離で
璃奈が、心配そうな瞳を
揺らめかせてきたから
――その表情
マジで大好きなヤツだわ……
大好きな女をイジる気持ちが
シュルル~と縮んでいく。
その代わり
「オマエの隣にいる男……
本当に……
俺でいいわけ……?」
情けない言葉が
俺の口から
ポロっとこぼれてしまった。
目を見開いた璃奈。
でも、俺の方が驚きは強い。
うわぁぁぁぁ~と
心の中では
激しくテンパりまくり。
なんとか
顔の温度は平熱の
無表情キープは
保たれてはいるものの
「まぁ。璃奈が
俺以上に惚れる男なんて、
この世に存在しねぇよな」と
自信過剰王子を
演じるのも、
仮面が剥がれ落ちないか
バクバク状態。