俺の気持ちに気づけよ、バーカ!


絶望が限界を振り切った。

そのせいか

『もう、どうにでもなれ』と
気が晴れた俺。


俺って
こんな満面な笑顔が
できるんだって
自分で感心しちゃうほど

ニコニコ笑いながら
璃奈を見つめてやったのに


「このままでも……
 いいかな……?」


璃奈が
泣きそうなほど声を震わせて


「桜ちゃんのコートの袖……
 握ったまま
 お家に帰りたい……」


俺のコートの袖を
ギュギュっとひぱったから


「なんで?」


俺の顔から微笑みが去り
つい、真顔に戻ってしまった。

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