俺の気持ちに気づけよ、バーカ!
「いいの、いいの」
「何がいいんだよ?」
「寝坊したら二人とも
学校の先生に
怒られればいいの」
「はぁ?」
「遅刻して先生に怒られたら
明日からは
もっと早く起きなきゃって
自分たちで考えて
行動するようになるでしょ?」
「まぁ、そうだな」
「私はね、
見守り型の母親代わりを
目指すことにしたんだ。
もちろん人を傷つけたら
ちゃんと怒るけどね」
「璃奈。
オマエ、変わったな」
「そう?」
「前はもっと、亮たちが
大人に怒られないように
先回りして
いろいろしてやってただろ?」
「あはは~。
確かにちょっと前までの私って
過干渉だったよね?」
でも私ね……
「完璧な母親を目指すの
やめたんだ」
「誰かにまた
何か言われたのか?」
心配性の桜ちゃんが、
私の両肩を掴んできた。
「違う違う」と
私は桜ちゃんの手から
逃げる。