俺の気持ちに気づけよ、バーカ!
苦い過去を
封印するかのように
天井を見上げた私。
私の隣で桜ちゃんが
フッと鼻で笑ったから
「私、変なこと言ったかな?」
って、つい聞いちゃった。
「違うって」
ん?
「別に、璃奈を非難して
笑ったんじゃないよ。
むしろその逆」
「いい意味で
笑ったってこと?」
「璃奈は俺の理想の妻に
なりそうだなって思ったら、
ほかの男に取られる前に
一刻も早く、婚姻届けを
書かせたくなっただけ」
桜ちゃんが、お兄ちゃん風の
陽だまり笑顔で
私の目をじっと見つめてくる。