俺の気持ちに気づけよ、バーカ!



桜ちゃんが
キッチンに戻ってきた。

私は食器を洗うため
泡泡のスポンジで
お皿をこすりながら
首だけ後ろを向く。


「優くん達
 すんなり起きた?」

「……まだ」

「桜ちゃんが言っても
 起きなかったの?」

「……」

「二人の耳元で
 シンバルを鳴らさないと
 ダメかぁ?」

「シンバル?
 そんなもの、この家にないだろ?」

「起こすためだけに買うのは
 お金の無駄だよね。
 置くスペースにも困るかぁ」

「今日、買いに行く気じゃ
 ないよな?」

「買わないってば」


そんな物にお金を使うなら
夕飯のお肉の量
倍増してあげたいし。


「しょうがない。
 私が二人の耳元で
 おきろ~!って叫んでくるよ」

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