騎士様と合コンして狙い撃ちしたら、まさかの恋仲になれちゃいました。もう離れたくないと縋るので可愛すぎてしんどい。
 シャーロックは、小さく苦笑した。立ち尽くした私に入ろうと促すように手を取られ、私は長いドレスの裾の片方を持って彼の後に続いた。彼がゆっくりと開いた扉の向こうには。

「……うわぁっ……」

 思わず、間の抜けた声を出してしまった。

 豪華すぎない照明用の魔法具のシャンデリアはきらめいていて、素敵。内装もいかにも……女の子が好きそうっていうか……私です。私がとっても好きそうな、そんなお邸だった。

「どう? エレノアが好きって言っていた、宿屋っぽい感じかなと思った。前からエレノアが仕事の日の非番に結構な時間を使って探していたけど、あの前から目を付けていたんだ。まだ使用人なんかは、雇い入れをしないといけないけど。昨日買ってすぐに掃除なんかも全部お願いしているから、今から住むのには支障がないはずだよ」

「……すごい」

 人って多分驚き過ぎると、ふわっとした感じの一言しか言えなくなるのかもしれない。細かなことなど言う余裕などもなく、ただただ驚いているだけ。

「……エレノア。このドレスを脱ごう。重そうだし……もう俺たちの部屋も、使えるから」

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