騎士様と合コンして狙い撃ちしたら、まさかの恋仲になれちゃいました。もう離れたくないと縋るので可愛すぎてしんどい。
 婚約の書類を早く出したいシャーロックが早急に挨拶したいと会いたがっていたお祖父様とのちゃんとした訪問の日は、また明日。

 この前に実家に帰ったら、お祖父様は長年勤めてくれているシェフにシャーロックと私が挨拶に来る時に三人で共にする晩餐のメニューを、どうするべきかと腕を組んでうんうんと悩んでいた。

 感謝や歓迎の気持ちを彼なりに最大限に表したいみたいだけど、おかしいくらい高価な最高級の食材が並んでいるのを見れば驚くだろうと思ってしまった。お祖父様がそうしたいのならお祖父様の好きにすれば、良いことだから止めないけど。

 お祖父様はこの前に思った通り、やっぱり不器用な人みたいで、孫娘のことを何より大事にしていると本人の私にバレてしまってからも、態度や言葉が素っ気なかったりもする。

 けれど、それがお祖父様という人。大人になった私が、理解してあげるべきだった。

 あの後、無理もないけど過保護とも言えるほどに心配性になってしまったシャーロックは、私がずっと憧れだった今の商会で働き続けることを条件付きではあるものの許してくれた。

 仕事帰りに彼が迎えに来れる時は、迎えに来ること。それと、来れない時は御者を雇った馬車を向かわせるので、それに乗って帰ってくること。

 騎士というのは、私が想像するよりもっともっと高給な職業であるようだ。

 なんでも、独身の騎士たちが騎士団独身寮に住んでいるのは、家事などすべて任せられた上で多忙な仕事に集中出来るからというそれだけの理由らしい。ちなみに騎士団寮の料金は格安で、彼らは結婚前の貯金も思う存分出来るそう。通りで世の女性たちが目の色を変えて、彼らを狙っているはず。

 運良く私がシャーロックを射止めることが出来たのは本当に奇跡でしかない。

 私が仕事を終えて商会の入り口を出ると、彼は人待ち顔で少し離れたところに立っていた。

 それを見て、なんだか胸がいっぱいになる。

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