騎士様と合コンして狙い撃ちしたら、まさかの恋仲になれちゃいました。もう離れたくないと縋るので可愛すぎてしんどい。
「プレゼント。これ。ランプリング商会が働いた悪事のほんの一部の証拠。写しで、もう既に色んな方面には、提出済だから。これでもう、悪いことは出来ないね?」

 一晩中駆けずり回って集めた横領などの情報を書かれた紙束を投げつければ、面白いくらいに一瞬で絶望の表情になった。この顔でも、足りない。エレノアがどれだけ悲しんだかと思うと、この女からすべてを奪っても気は晴れない。

「シャーロック!」

 まだ状況が良くわかっていない女に、一言一言力を込めて言った。バカでもわかるように、優しくね。

「もう、俺の名を二度と呼ぶな。今度エレノアに近づけば、殺す。時間がなくこれで終わらせたのを、ありがたいと思え」

 もしかしたら、話のわかる御しやすい優しい幼馴染とでも思われていたのかもしれない。

 自己顕示欲の高いめんどくさい性格をしたブレアのことは、正直に言うとどうでも良かったので話をそれなりに合わせていただけだ。ただ親同士が仲が良いと会う機会も多く、俺はその時間を幼いながらに協調性を出して上手くやる方法を選んだだけ。今思えば大きな間違いだった。

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