私は今日も、虚構(キミ)に叶わぬ恋をする。
駅から数分歩くと、遊園地・セイレニアランドの入り口があった。

当然の如く、そこにも『エレアル』キャラの看板やポスターがたくさんあって、またもや私は撮影しまくった。

周りを見ると、ほかのお客さんたちも、大盛り上がりでスマホを構えている。


「は〜、やっぱ埋木くん可愛い〜推せる〜」

「えー、今日は『エレアル』コラボ絶賛開催中のセイレニアランドにやってきました! 見てください!見渡す限り『エレアル』です!
まさに天国っ!」

「ねぇ、あれ、水兎くんのコスだよね!? クオリティ高すぎ! 
女の人なのに、超かっこいい〜!」


中には動画を撮影しながら実況している子たちや、コスプレをしている人たちもいて、完全にお祭りムードだ。

私のテンションも上がってくる。


「すごいね。『エレアル』好きな人ってこんなにいるんだ……」

「アニメ化前だけど、連載は長いからね〜。
イケメン多いからお姉さんファンも多いし。
……ね、優星くん大丈夫? 引いちゃってない?」


ファンが集まる独特の空気に、優星くんが付いてこれるか、ちょっと心配だった。

が、優星くんは楽しげに笑うと、


「全然。むしろ楽しいよ。
こんな面白い場所、なかなかないじゃん」

「そうなんだよ!」


『エレアル』と遊園地、二つの非日常が混ざったこの空間は、今しか味わえないものだ。


(このイベントを企画してくれた人、本当にありがとう!)


「よし、私たちもガンガン楽しもう!」


私は今日一日、『エレアル』漬けになることを決めた。
< 114 / 165 >

この作品をシェア

pagetop