私は今日も、虚構(キミ)に叶わぬ恋をする。
「……っ!」


私は思わず、雑誌を広げたままベッドに伏せた。


(なんだ)

(なんなんだろう、この気持ちは)


手を震わせながら、私は再び雑誌を手にし、開いたままのページを表に向けた。
そこにいる《彼》を一瞬だけ見て、また雑誌をベッドに伏せる。


(……おかしい)


胸がドキドキして、彼が描かれたページを、まともに見られない。


(い、一旦落ち着こう。深呼吸、深呼吸……)


そう自分に言い聞かせるが、とても落ち着くことなんてできない。

そわそわして座っていられなくて、意味なく部屋を歩き回ったり、ベッドにゴロゴロと転がった。


(わけわかんない。おかしい。どうしたんだろ、私……)


そして再び、ゆっくりと呼吸を整えて、雑誌を開いた。


「………………はぁぁあぁ〜〜……!!」


やっぱり、即座に雑誌を伏せる。

身体中が熱を持って、夏でもないのに汗が出た。


私は、《彼》───焔烈華様に恋をしてしまったのだ。

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