私は今日も、虚構(キミ)に叶わぬ恋をする。
駅前のコンビニに入ると、『エレアル』の番々くじがレジ横に置いてあった。

既になくなってしまった景品があったら、景品一覧の該当のところに《終了しました》シールが貼られるのだが、見たところ、半分以上の景品はまだ残っているようだった。

私の目当ての景品も、ありがたいことに全部残っていた。


「よかったね、たくさん残ってて……
? どうかした?」

「ううん……もちろん嬉しいんだけど……売れ残ってるみたいでちょっと複雑で」

「あはは! 光峰さんって、結構面白いよね」


久我山くんに思い切り笑われてしまった。


「わかってるよ……我ながら面倒くさい考え方するなぁって思うもん。

でも、好きな作品が人気無いのって、ちょっと寂しいじゃない」

「そういうもんかなぁ? 好きなら好きで、独り占めしたくなるもんじゃない?」

「そういう人もいるだろうけど……」


私はできれば、『エレアル』や烈華様に、もっともっと人気になってほしい。
日本中の人にその魅力を知ってほしい。


「そうすれば、クオリティ高い烈華様グッズが大量に作られて、画集やファンブックもガンガン発売されて、そこで未公開設定なんかが明らかになったりして……っ!」

「光峰さん。漏れてる。いろいろ漏れてるから、本音が」


来年のアニメ化で『エレアル』人気が一気に爆発す流ことを祈りつつ、私は久我山くんと共にレジに向かった。

番々くじを購入することを伝えると、若い女の店員さんが、くじ箱を持ってきてくれる。

何回引くか聞かれたので、とりあえず3回分と答えた。


(B賞B賞B賞B賞B賞B賞……っ!!)


私は右手に念を込めながら、箱からくじを3枚選んだ。

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