私は今日も、虚構(キミ)に叶わぬ恋をする。
彼は絶対に秘密を守ってくれる。

だから、何の心配もいらない。


「……ま、確かに深月は、品行方正な万能優等生ちゃんだもんね! 
彼氏も久我山くんが初めてだし! 
探られて困ることなんかないよね!」


陽菜はパッと明るい顔になった。


「あー……。そう考えたら、なんか急に肩の力が抜けてきたよ〜。
めっちゃ心配してたんだからね、これでも!

あんなイケメンといきなり付き合い始めるなんて、深月への風当たり強くなるんじゃないか、とか。

まさか久我山くんに弱味でも握られて、無理矢理付き合わされてるんじゃないか、とか!」

「そうだったんだ……」


てっきり、陽菜に黙って付き合い始めた(ことになってる)から、怒ってるんだと思っな。

でも、……うん、よく考えたら、陽菜はそんな子じゃなかった。

困っている私を見捨てなかった、優しい子だ。


「ありがと、陽菜」

「いいよ〜。そのかわり久我山くんに、『カッコいい男の子紹介して』って伝えといて。
できれば年下可愛い系の♡」

「あはは、了解!」

「あともう一個。

『深月と今後も付き合いたいなら、強引な先輩たちぐらい自力で断ってみせなさい!』ってのもね。

優しいのはわかったけど、それはそれとして、もっとしっかりしてもらわないと、深月は任せられないから!

……って、流石に付き合いたてでこんなの言いづらいか。
いいや、アタシが自分で言う」

「ひ、陽菜……っ!」

「深月が止めても言うからね。
これは、親友としての正当な要求だから!」


私を横目で見ながら、陽菜は悪戯っ子のように笑った。


(久我山くんには頑張ってもらうしかないかな……)


ともあれ、いい親友を持てて、私は本当に幸せだ。


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