私は今日も、虚構(キミ)に叶わぬ恋をする。
「書いてたのって、例の長編小説のラストですか?」

「うん。なかなか進まなくって、サイトにあげられるのはもう少し先になりそうなんだけど」

「無理せずゆっくり書いてくださいね!
私、楽しみにしてますから!」


真昼ちゃんは、キラキラした笑顔でそう言ってくれた。


(うぅ……すごくいい子だ)


私が夢小説を書くのは、『自分が読んで楽しみたいから』っていうのが一番の理由だ。

でも、こうやって読んでくれた人の反応をもらえるのは、それとは別腹の嬉しさがある。



「私、昨日も読み返しちゃったんですよ〜、深月さんの小説!
おかげで『エレアル』熱がすっごく高まっちゃって。

今日が来るのが、楽しみで楽しみで仕方なかったですっ」

「私も、すっごく楽しみにしてた!」

「えーと……道、こっちで合ってますよね?」

「うん、あのコンビニを右に曲がって……。
ちょっと道が入り組んでてわかりにくいね。
地図出そうか?」

「お願いします!」

私はスマホの地図アプリを開くと、目的地を入力した。

「ここから徒歩5分だって。
あの細い道を通り抜けるみたい」

「わかりました!」


私と真昼ちゃんは、道中『エレアル』トークをしながら、目的地に向かった。
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