愛と狂気の真ん中で
俺は高山 椿(たかやま つばき)  
             
14歳。             
              
でも,最初からそうだった訳じゃない。
              
姓も高山では無かったし,名前も椿じゃなかった。           
             
姓は佐藤で,名前は……   
               
呼ばれた記憶が無いから,あったのかすら分からない。           
             
俺が生まれた時,母親のとなりにいた男は2人目の旦那だった。
           
その,義理の父親が失踪直前に説明していったことからすると。     
            
2人は俺を早くにつくりすぎた。  
            
法律上俺は前夫との子供に見なされてしまう。          
           
元々ヒステリックが原因で離婚された母は,ひどく泣きわめいた。
             

             
『ひどいわ! この子は貴方との子よ! ひどいわ。ひどい! ひどすぎる……ブツブツ』

            
              
(母子手帳は彼女が持ってるし……)
              
母の本性を知らなかった父は困惑し,それでもぎりぎりになれば届け出るだろうと楽観視していた。      
            
結局届け出はされず,母のようなケースなら法的窓口があることも知らなかった父は,ますます追い詰められ……
             
                
               
『じゃあな……すまない』
              
                
               
6歳の時,俺一人に挨拶をし,夜遅くに出ていった。        

               
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