愛と狂気の真ん中で
何に対しての謝罪だったのか,今でも分からない。       
              
出たいと思ったこともない外に俺を出さなかったことか,母のヒステリックを止められなかったことか,俺をすてることか,誕生日をこっそり祝うくらいしか家族らしいことをしなかったことか……はたまた俺を作ったことか。            
            
否,きっと全てだろう。
          
父は簡単な言葉で,俺への罪悪感や関係をたちきろうとしたのだ。   
            
母に離婚も切り出せず,責められたくないがために機関への相談も行こうとすらせず。
           
              
         
『俺は反対した』

           

そう強く俺に言い残して全てを放棄した。
                  
翌日母は父の不在にいち早く気づき,朝早く家を出た。      
          
まずいと直感した俺は追いかけようとして……
         
-ズデンッ

廊下でスッ転んだ。

突然走ろうとして動くような身体ではなかった。         
                
(これはもう追い付けないし,行ったこともない場所に行くのは危険では?)
     
最悪住処まで失う。   
              
6歳でありながら諦め早く,どこか俯瞰的だった俺は一縷の望みを賭けて1日まった。
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