おそかれはやかれ。
海は、新しい生活にも慣れたみたいで、父さんや恵さんに挨拶をし、学校に向かう。
俺は、海が家にいることへの違和感を未だ拭えないでいた。
海が居る。
手が届かないと思っていた海がすぐそばにいる。
襖を隔てるだけの部屋では嫌と嫌と言うほど感じる。
今日は何時に帰ってくるんだろうとか、何をしてるんだろうとか。
眠った顔はもっと綺麗なんだろうかとか。
そんなことを悶々と考えてしまう。
平日はそんな感じで時間が過ぎていくが、土日は、家に篭りがちな俺とは逆で、外出することが多いようだ。
きっと、学校の子ではない俺の知らない女の子と付き合っていて、会いに行っているのだろう。
ズキンとすこし胸が痛む。
俺はこの間から少し変だ。
海にもっと、俺のことを知ってほしい、俺のことでいっぱいになってほしい。なんて考えるようになった。
男相手に何を考えているのかと自分に問いかけるが、一向に答えが見つからない。
そんなことを考えていると時間がまた過ぎていく。
俺も学校に向かうことにした。
学校に着くと陸が楽しそうにクラスメイトと話していた。
「結!ちょうどいいところ来たな!」
「どうしたの?」
「じゃーーん!これ!毎年恒例らしい、軽音部の花火大会!」
そういってチラシを見せてくる。
「へー!楽しそうじゃん。」
「軽音部以外の友達も誘っていいんだって、結もくるだろ?」
俺は少し考えた。
夏の花火大会といえば、浴衣。
海の浴衣姿が見れるのかな…。
「うん。行くよ。」
そう答えてスケジュール帳に大きく花火って書いた。
夏休みが楽しみになってきた。
とその前に期末テスト頑張らないと。
「なに、結はいつも成績トップだし大丈夫だろ。」
「努力してんだよ。」
「それに、中島先輩もいるもんな。」
「海なんてギター弾いて歌ってばかりでつかいもんにならないよ。」
「ツンツンするなよ、本当は先輩のこと大好きなくせに。」
「はぁ!?」
「いつも目が追いかけてる。」
「俺が?」
「そんな態度とってたら嫌われちゃうぞ。
照れ隠しもいいけどほどほどにな。」
ほどほどになって…。
俺だって好きでツンケンしてるわけじゃないし。
けど、こんな気持ち初めてで自分自身も戸惑ってて…。
俺の席から運動場はよく見える。
今日も体育の授業を受ける海がよく見えた。
透き通る白色の金髪がふわふわと揺れるのを見るのが好きだ。
その髪に触れたら、海はなんて言うだろう。
その唇に触れたら、海は俺のことどんなふうに見るのかな。
キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴り、授業が終わる。
俺は委員会があるので急いで図書館に向かう。
図書館の作業ももう慣れたものだ。
佐々木さんに挨拶を交わし自分の作業に没頭する。
しかし、気の緩みが伺えたのか、その日の締め作業で書庫の鍵を図書館に忘れてしまった。
「やば!急いで戻らないと。」
図書館にもう一度向かった時、閉めたはずの扉が開いていることに気づく。
誰かいる?
そろりと扉を開いて中に入る。
すると閲覧室の本棚の間から見覚えのある金髪が目の中に飛び込む。
次の瞬間もっとすごい光景を目の当たりにする。
「佐々木さん、んっ、、」
「海、かわいい。」
俺は目を疑った。
佐々木さんと海がキスをしていたのだ。
何かの間違いではないかと思った。
思いたかった。
長くて熱いキスを2人は交わした。
「僕が海の辛いこと全部拭いとるから。」
「佐々木さん…。もっと、あぁっ、っー。」
首筋を這うようにキスをする。
あんな顔初めて見た。
他の男に、あんなにされる海を見ているのが辛くて、俺は図書室を後にした。
海は佐々木さんと付き合っていたんだ…。
だから、あんなに告白されても彼女がいなかったんだ。
俺は嫉妬なのか怒りなのか泣きたいのか悲しいのか、心の中がぐちゃぐちゃになった。
「こんなの、どうしようもないじゃん。」
自分の我儘ではどうにもならない現実を突きつけられた。
俺は、海が家にいることへの違和感を未だ拭えないでいた。
海が居る。
手が届かないと思っていた海がすぐそばにいる。
襖を隔てるだけの部屋では嫌と嫌と言うほど感じる。
今日は何時に帰ってくるんだろうとか、何をしてるんだろうとか。
眠った顔はもっと綺麗なんだろうかとか。
そんなことを悶々と考えてしまう。
平日はそんな感じで時間が過ぎていくが、土日は、家に篭りがちな俺とは逆で、外出することが多いようだ。
きっと、学校の子ではない俺の知らない女の子と付き合っていて、会いに行っているのだろう。
ズキンとすこし胸が痛む。
俺はこの間から少し変だ。
海にもっと、俺のことを知ってほしい、俺のことでいっぱいになってほしい。なんて考えるようになった。
男相手に何を考えているのかと自分に問いかけるが、一向に答えが見つからない。
そんなことを考えていると時間がまた過ぎていく。
俺も学校に向かうことにした。
学校に着くと陸が楽しそうにクラスメイトと話していた。
「結!ちょうどいいところ来たな!」
「どうしたの?」
「じゃーーん!これ!毎年恒例らしい、軽音部の花火大会!」
そういってチラシを見せてくる。
「へー!楽しそうじゃん。」
「軽音部以外の友達も誘っていいんだって、結もくるだろ?」
俺は少し考えた。
夏の花火大会といえば、浴衣。
海の浴衣姿が見れるのかな…。
「うん。行くよ。」
そう答えてスケジュール帳に大きく花火って書いた。
夏休みが楽しみになってきた。
とその前に期末テスト頑張らないと。
「なに、結はいつも成績トップだし大丈夫だろ。」
「努力してんだよ。」
「それに、中島先輩もいるもんな。」
「海なんてギター弾いて歌ってばかりでつかいもんにならないよ。」
「ツンツンするなよ、本当は先輩のこと大好きなくせに。」
「はぁ!?」
「いつも目が追いかけてる。」
「俺が?」
「そんな態度とってたら嫌われちゃうぞ。
照れ隠しもいいけどほどほどにな。」
ほどほどになって…。
俺だって好きでツンケンしてるわけじゃないし。
けど、こんな気持ち初めてで自分自身も戸惑ってて…。
俺の席から運動場はよく見える。
今日も体育の授業を受ける海がよく見えた。
透き通る白色の金髪がふわふわと揺れるのを見るのが好きだ。
その髪に触れたら、海はなんて言うだろう。
その唇に触れたら、海は俺のことどんなふうに見るのかな。
キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴り、授業が終わる。
俺は委員会があるので急いで図書館に向かう。
図書館の作業ももう慣れたものだ。
佐々木さんに挨拶を交わし自分の作業に没頭する。
しかし、気の緩みが伺えたのか、その日の締め作業で書庫の鍵を図書館に忘れてしまった。
「やば!急いで戻らないと。」
図書館にもう一度向かった時、閉めたはずの扉が開いていることに気づく。
誰かいる?
そろりと扉を開いて中に入る。
すると閲覧室の本棚の間から見覚えのある金髪が目の中に飛び込む。
次の瞬間もっとすごい光景を目の当たりにする。
「佐々木さん、んっ、、」
「海、かわいい。」
俺は目を疑った。
佐々木さんと海がキスをしていたのだ。
何かの間違いではないかと思った。
思いたかった。
長くて熱いキスを2人は交わした。
「僕が海の辛いこと全部拭いとるから。」
「佐々木さん…。もっと、あぁっ、っー。」
首筋を這うようにキスをする。
あんな顔初めて見た。
他の男に、あんなにされる海を見ているのが辛くて、俺は図書室を後にした。
海は佐々木さんと付き合っていたんだ…。
だから、あんなに告白されても彼女がいなかったんだ。
俺は嫉妬なのか怒りなのか泣きたいのか悲しいのか、心の中がぐちゃぐちゃになった。
「こんなの、どうしようもないじゃん。」
自分の我儘ではどうにもならない現実を突きつけられた。