おそかれはやかれ。
なんだかんだで高校に入学して1週間がたった。
陸は部活で早速バンドを組んだりして活動が忙しいらしい。
もう、部活って大変だよ!
なんて言いながら楽しそうだった。


かくいう俺は、大学は良いところを狙いたいという下心もあり、委員会に入ることにした。委員会に入ると内申点が貰え、推薦してもらいやすくなるのだ。
いつも父1人子1人で苦労させてる母さんには、迷惑をかけたくない。

生徒会や体育委員会などいろいろな役職があるが、俺は楽そうという理由で図書委員を選んだ。


早速今日のお昼に顔合わせがあるということで図書室に向かった。

図書室は教室から離れたところにあって、まだ冷たい春風にさらされた渡り廊下を渡っていく。
その先に魔法使いの館のような扉が出てきた。
ここの図書館なかなか趣があるじゃん。
なんて思いながら扉を開けた。
扉を開くと天窓に一直線に本棚がずらりと並んでいた。
ざっと数万冊は所蔵されてそうだった。

「わぁ。すげぇ。」

思わず声に出す、すると隣から声をかけられた。

「君が、一年生の図書委員の子?」
「はい!」

そこには、すらっとした手に、なんとも知的そうな眼鏡をかけた背の高い男がいた。

「僕の名前は、佐々木健智。ここの図書館で司書をしてるものだよ。」
「俺は中島結です!よろしくお願います。」

よろしくと佐々木さんはハニカミながら会釈をした。

「ここの仕事は、3年生から1年生で当番制で業務を行なってもらうことになってるんだ。業務といっても、難しいことじゃなくて生徒が本を持ってきてくれたら、それを貸し出したり返却したりする単純な作業だから心配しないで。上級生のみんなも優しいからきっとすぐに仲良くなれるよ。」

そうは言われても少し不安があった。
しかし、内心のため!早速業務に取り掛かることにした。
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