おそかれはやかれ。
委員会も終わり教室に戻る。

「お!委員会お疲れさん!どだった?」
陸がシーソー椅子をしながら呑気に話しかける。
「どうもこうも、なかなかに大変でさ、1番楽そうなんて思って入ったけどそう甘くなかったよ。」
ははは、そりゃそうだと陸が笑う。

「陸の方は?部活はどう?」
「早速ライブが決まってさ、駅の近くのライブハウスで日曜日するんだけど、結もし、暇だったらどうだ?」

「俺?」

まぁ、こんなこともなければライブハウスに行ってみる縁も無さそうだし、少し興味はあるし…。

「そうだな、陸の歌聴いてみたいし行くよ!」

そう答えて、スケジュール帳に陸のライブと書いた。
なんだか楽しみになってきた。






日曜日、陸の言っていたライブハウスに向かう。ライブハウスは学校の最寄駅の近くにあって定期券内で行けるのはありがたい。

ライブハウスに着くと、同い年ぐらいの子たちが屯していた。
きっと陸に誘われたのであろう同級生とみられる子もちらほらいて、目が合うと会釈を交わした。
その中にはクラス一美人と持て囃される、トアちゃんもいた。

陸、やるじゃん。

俺が少し嫉妬しているうちにライブが始まる。

このライブは陸のバンドだけじゃなくて、数組のバンドが出演するみたいだった。



すると始まって早々女子たちがステージ近くに駆け寄った。

ステージには木村先輩が立っていた。

木村先輩は少し女子に愛想しながら、今日も涼しげな顔で歌を歌い始める。

やっぱりうまい…。
自分の心臓がどくどくなるのが伝わる。

新歓ライブの時は制服を着ていた先輩だったが今日は私服で、期待を裏切らないかっこよさだった。
そして、より一層本当に同じ学生とは思えなかった。
きっと先輩は手が届かない存在なんだ。
そう感じた。





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