おそかれはやかれ。
陸のバンドも大成功の演奏に俺は満足して帰ろうと思った。
その前に、一声掛けようと思い楽屋の前で待っていた。
しかし、出てきたのは陸じゃなく木村先輩だった。
ギターを弾いているとは思えないほど綺麗な手に、白に近い金髪、くるっと上にカールする長いまつ毛、そこから覗く耽美的な目。
俺は、初めて近くで見る木村先輩に見惚れた。
「ねぇ。そこ邪魔なんだけど。」
木村先輩の声ではっとする。
「す、すいません!」
「なに?ジロジロ見てきて俺男には興味ないんだけど。」
「な!俺だって男になんか興味ない!」
なんか歌ってる時の爽やかなイメージと違って少し感じが悪い。
「お!来てくれたんだね!」
「陸!」
身支度を終えた陸がバンドメンバーと共に出てきた。
「俺の歌どうだった?」
「すごくかっこよくて元気が出る歌だったよ!筋トレしないといけないのも、よく分かった。」
「だろ!来てくれてありがとう。」
じゃあまた学校で。と手を振り分かれる。
気づくと木村先輩もそこにはもう居なかった。
俺も帰ることにした。
「木村先輩かっこよかったねー」
「歌うまいしMCも爽やかで木村先輩の優しさが伝わったー!」
「私大ファン!」
帰り道、女子たちは木村先輩の話で持ちきりのようだった。
「何が先輩の優しさだ!あいつは猫をかぶってるんだ!」
帰宅後夕食の支度をする父に木村先輩の愚痴を言う。
「結は女子にモテる男に嫉妬してるだけじゃないか?」
「なっ!俺だって、そこそこもててるよ!」
父がクスクス笑う。
「そういえば、来週の約束覚えてる?」
「覚えてるよ。」
父さんは職場で出会った素敵な女性に恋をしたらしい。母さんが死んでしまってから、辛そうだった父さんに笑顔が戻ったのもその人のおかげだ。それに、俺1人じゃ結にも苦労をかけると、いつも気にしていたから、早く家族に迎えたいんだと思う。
「新しいお母さんは、絶世の美女だから、そんじゃそこらの女子に騒がれる先輩よりも幸せもんになるぞ。」
「父さんなかなか言うね。俺も会うのが楽しみだよ。」
そんなことを話してるうちにご飯を食べ終わり、俺は部屋に向かった。
新しい母さんかぁ。
絶世の美女。楽しみだなぁ。
そんな時、ふっと木村先輩の顔がよぎった。
俺は頭をブンブン振った。
いや、なんでそこで木村先輩!
たしかに綺麗だけど…。
あのすらっとした指、透き通る髪、涼しげな目つき。
思い出したら、今まで恋したどんな女子を思い浮かべるより、自分がドキドキしているのを感じた。
「こんなの嘘だ。」
しかし、体は正直で頭の中で気持ちを抑制しようとしても、心を映し出す。
俺だって男になんか興味ないのに、ないはずなのに、どうしてこんなにドキドキしているんだろう。
少し涙目になりながら考える。
その夜俺はあまり眠れなかった。
その前に、一声掛けようと思い楽屋の前で待っていた。
しかし、出てきたのは陸じゃなく木村先輩だった。
ギターを弾いているとは思えないほど綺麗な手に、白に近い金髪、くるっと上にカールする長いまつ毛、そこから覗く耽美的な目。
俺は、初めて近くで見る木村先輩に見惚れた。
「ねぇ。そこ邪魔なんだけど。」
木村先輩の声ではっとする。
「す、すいません!」
「なに?ジロジロ見てきて俺男には興味ないんだけど。」
「な!俺だって男になんか興味ない!」
なんか歌ってる時の爽やかなイメージと違って少し感じが悪い。
「お!来てくれたんだね!」
「陸!」
身支度を終えた陸がバンドメンバーと共に出てきた。
「俺の歌どうだった?」
「すごくかっこよくて元気が出る歌だったよ!筋トレしないといけないのも、よく分かった。」
「だろ!来てくれてありがとう。」
じゃあまた学校で。と手を振り分かれる。
気づくと木村先輩もそこにはもう居なかった。
俺も帰ることにした。
「木村先輩かっこよかったねー」
「歌うまいしMCも爽やかで木村先輩の優しさが伝わったー!」
「私大ファン!」
帰り道、女子たちは木村先輩の話で持ちきりのようだった。
「何が先輩の優しさだ!あいつは猫をかぶってるんだ!」
帰宅後夕食の支度をする父に木村先輩の愚痴を言う。
「結は女子にモテる男に嫉妬してるだけじゃないか?」
「なっ!俺だって、そこそこもててるよ!」
父がクスクス笑う。
「そういえば、来週の約束覚えてる?」
「覚えてるよ。」
父さんは職場で出会った素敵な女性に恋をしたらしい。母さんが死んでしまってから、辛そうだった父さんに笑顔が戻ったのもその人のおかげだ。それに、俺1人じゃ結にも苦労をかけると、いつも気にしていたから、早く家族に迎えたいんだと思う。
「新しいお母さんは、絶世の美女だから、そんじゃそこらの女子に騒がれる先輩よりも幸せもんになるぞ。」
「父さんなかなか言うね。俺も会うのが楽しみだよ。」
そんなことを話してるうちにご飯を食べ終わり、俺は部屋に向かった。
新しい母さんかぁ。
絶世の美女。楽しみだなぁ。
そんな時、ふっと木村先輩の顔がよぎった。
俺は頭をブンブン振った。
いや、なんでそこで木村先輩!
たしかに綺麗だけど…。
あのすらっとした指、透き通る髪、涼しげな目つき。
思い出したら、今まで恋したどんな女子を思い浮かべるより、自分がドキドキしているのを感じた。
「こんなの嘘だ。」
しかし、体は正直で頭の中で気持ちを抑制しようとしても、心を映し出す。
俺だって男になんか興味ないのに、ないはずなのに、どうしてこんなにドキドキしているんだろう。
少し涙目になりながら考える。
その夜俺はあまり眠れなかった。