優しくない同期の甘いささやき
私は姉と顔を見合わせた。
「盛大にお祝いしてあげる! お姉ちゃん、ケーキを焼こうよ」
姉は泣き笑い顔で「うん」と言った。
後日、健人さんはわが家に来て、謝罪した。「美希さんを幸せにできなくて、申し訳ありません」と。
父は姉から健人さんが浮気していたと聞かされた時は、激しく怒っていた。
穏和な父が怒るのを初めて見たかも。
しかし、健人さんが来た時には落ち着いていた。
「縁がなかったようだ」と父は返した。
健人さんが持参した離婚届に姉は名前等を書いた。
あとで、弁護士を通して、姉に慰謝料が支払われる。姉は慰謝料を受け取らないつもりでいたが、父がこちら側の痛みを分かってもらうためにも受け取るべきだと言った。
結婚するのも大変だけど、離婚するのはもっと大変だと姉たちを見て、つくづく思った。
いつか自分が結婚する時は、絶対離婚しない相手にしようとも思った。
この日の夜、自分の部屋から細い月を眺めて、熊野の顔を思い浮かべた。
「盛大にお祝いしてあげる! お姉ちゃん、ケーキを焼こうよ」
姉は泣き笑い顔で「うん」と言った。
後日、健人さんはわが家に来て、謝罪した。「美希さんを幸せにできなくて、申し訳ありません」と。
父は姉から健人さんが浮気していたと聞かされた時は、激しく怒っていた。
穏和な父が怒るのを初めて見たかも。
しかし、健人さんが来た時には落ち着いていた。
「縁がなかったようだ」と父は返した。
健人さんが持参した離婚届に姉は名前等を書いた。
あとで、弁護士を通して、姉に慰謝料が支払われる。姉は慰謝料を受け取らないつもりでいたが、父がこちら側の痛みを分かってもらうためにも受け取るべきだと言った。
結婚するのも大変だけど、離婚するのはもっと大変だと姉たちを見て、つくづく思った。
いつか自分が結婚する時は、絶対離婚しない相手にしようとも思った。
この日の夜、自分の部屋から細い月を眺めて、熊野の顔を思い浮かべた。