優しくない同期の甘いささやき
見つめあって
私から彼にしたキスは触れるだけの軽いものだった。

熊野は「ありがと」と深いキスを返してきた。熱い舌が絡めあう濃厚なキスに、私からは吐息が漏れる。

キスだけで体がとろけそうだ。熊野は脱力しかけている私の前髪をかきあげて、額に口づけた。


「もう止めないからな」

「うん……止めないで」


着替えを持ってきていない私は昨日着ていたブラウスを洗ってもらい、乾燥機で乾かしてから着ていた。

そのブラウスに熊野から借りたハーフパンツを穿いていて、かわいさも色気もない格好だった。

熊野はそんな私の首筋や鎖骨にキスをしながら、ボタンをはずしていく。

それから、自分の着ているTシャツを脱ぎ、床に放り投げた。

部屋の照明を灯していないのに、室内はものすごく明るい。

自然光の中で、彼の引き締まった体が鮮明に浮かび上がっていた。直視するのが恥ずかしく、顔を背ける。

見ていられない……。


「ちゃんと、見ろよ」


横に動かした顔は正面に向かされた。顔が熱くなっていく。


「だって、恥ずかしい……なんで、こんな明るいの?」
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