優しくない同期の甘いささやき
薄曇りの空が眩しく見えるのは、気のせいかな。

隣を歩く熊野が爽やかに見えるのも、気のせいだろうか。

あれから私たちはシャワーを浴びて、熊野が作った焼きそばを食べた。

そして、今はカフェに向かっている途中である。

私が昼食後に甘いものが食べたいと言ったから、熊野がフルーツタルトを食べに行こうと言った。

半年前に他の場所から移転したカフェで、タルトが美味しいと評判らしい。

10分くらい歩いて到着したが、行列ができていた。

テイクアウト用の列のほうが空いていたので、そちらの最後尾に並んだ、今日は1日曇りの予報だから、雨の心配がない。


「あれ? 熊野さんと加納さんじゃないですか?」


私たちの後ろに並んだ人から声をかけられて、振り向いた。


「あ……山岡さん! わあ、偶然ですね」


会社で取引のあるコーヒーチェーン店の人で、姉の元カレだった山岡さんがいた。山岡さんの隣には、学生くらいの年齢に思えるかわいらしい女性がいた。

打ち合わせで会った時は、交際している人はいなく、10年も前に別れた姉に未練があるような感じだった。

あのあとに、彼女ができたのかな?
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