優しくない同期の甘いささやき
私は「えっ?」と立ち止まった。熊野も合わせて、動きを止めた、


「なんで熊野がお姉ちゃんのことを言うのよ? それこそ言うべきことじゃないでしょ」

「ん? 俺たちのことじゃないのか?」

「私たちのこと? 何の話をしていたの?」


話が噛み合っていないと感じて、私たちは首をひねった。

熊野は何を言えば良かったと、言っているの?


「俺たちが付き合っていることだよ」

「あー、そっち? 私はお姉ちゃんが離婚したとことを言ってたんだよ」

「そっちかー。なんだ、そうか」


熊野が声をあげて笑うから、私も笑った。勘違いすることは、誰にでもある。でも、ちゃんと伝えれば分かりあえる。

熊野とは、どんなことでも話して、どんなことでも共有できたらいいな。

私たちの交際は始まったばかりだけど、これからも何でも言い合える仲でいたいな。

いつでも彼のことを誰よりも知っていたい。

そんなことを思った休日の昼下がりだった。
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