優しくない同期の甘いささやき
「誰か他に来るのか?」

「聞いてないけど、そうなのかな?」


小声で話していると、姉が来た。姉の後ろにはなぜか山岡さんがいた。

私はキョトンとした。

どうして、山岡さんが一緒にいるの?


「美緒たち、早かったのね」

「うん。お姉ちゃん、そちら……」


姉の背後に視線を向ける。山岡さんが微笑んで「こんばんは」と言った。

ふたりは自然な様子で、私たちの前に腰をおろした。

そっと祥太郎と目を合わせた。祥太郎も困惑しているようだ。

姉はスタッフから預かったメニューをこちらに渡した。


「コースを頼んであるんだけど、肉と魚のどっちがいい?」


祥太郎とメニューを見てから「肉」と声を揃えた。

姉がフフッと笑う。


「さすが、気が合うのね。私もお肉にしようかな。尚くんはどうする?」

「俺も肉にするよ」


姉は頷いて、テーブルの上にあるベルを鳴らす。姉に『尚くん』と呼ばれた山岡さんがオーダーした。

尚くん……確か『尚希(なおき)』さんだったと山岡さんの下の名前を思い出す。
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