優しくない同期の甘いささやき
気になるのは名前ではなくて、ふたりの関係だ。高校生のときに付き合っていたと知ってはいるけれど、今ここにいるふたりは親密そうに見える。

元恋人だからなの?

たぶん、それだけではない。


「お姉ちゃんの話って、なに?」


私の質問に、姉は山岡さんと顔を見合わせた。どことなくふたりは照れ顔だ。

もしかして、付き合っているのかな?


「実は私たち、付き合うことになったの」


当たりだった。


「ええっ、いつの間に?」

「美緒たちが尚くんに会ったのが、きっかけよ」

「でも、山岡さんは連絡先を知らないと言っていて、私も教えていないけど」


山岡さんからは姉のことを聞きたいから、個人的に話したいと言われてはいた。

だが、山岡さんから連絡がなかったから、話す機会もなくて時間だけが過ぎていた。

ふたりどのようにして、再会したのだろうか。

その答えを山岡さんが話す。


「妹といるときにおふたりと偶然会ったあとで、美希とどうしても会いたくなったんですよ。でも、美希の妹さんだからといっても、取引先の人には頼めないなと思ってね……」
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