優しくない同期の甘いささやき
告白されて
憂鬱なことは早くに終わらせてしまおう。今日が終われば、休日はのんびり過ごせる。

来週の課内スケジュールを確認して、いそいそとデスク周りを片付けた。時間を確認すると、18時にまだなっていない。

居酒屋まで徒歩5分だから、まだ出るには早い。メイク直しでもして、時間を潰そうと席を立った。

廊下に出ると、エレベーターの方から熊野が歩いてきた。外出していて帰社したところのようだ。

「お疲れ様」と声を掛ける。「おう」と返事をして、熊野は立ち止まった。私もそのまま通りすぎていけず、止まる。


「もう帰るのか?」

「トイレ行ってから、帰るわ」

「俺も帰るから、なんか食べに行こう」

「えっ?」


まさかここで捕まるとは思っていなかった。考えてみれば、金曜日だ。今までも仕事帰りに食事をするのは、金曜日が多かった。

自然な誘いなのだけど、私は戸惑った。


「 あ、えっと、今夜は用事があるから、また今度ね。じゃ……」


熊野の目の色が変わったので、私は逃げようとした。なんの用事かと勘付いたかもしれないからだ。
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