優しくない同期の甘いささやき
「加納」
背中を向けた途端、手首を掴まれた。
ああ……やばい。
知奈……どうしよう。
この場にいない知奈に助けを求める。しかし、そうそう都合よく現れない。
私は振り返らないで「何?」と訊いた。
「途中まで一緒に行かせてよ」
「途中?」
予想していないことを言われて、振り向いて熊野の手を払った。
熊野は私を真っ直ぐと見据える。胸の内を探るような強い眼差しだったが、不意にその力が緩んだ。
「ああ、加納の行くところの前まででいいよ」
「でも、すぐそこだよ?」
「すぐそこでもいい。加納と少しの時間でも一緒にいたい。いいだろ?」
一緒にいたいとは、甘い誘い文句だ。私の顔は急速で熱くなった。
その時、熊野の瞳が揺れる。
「なんだよ、その反応。かわいいんだけど」
「えっ、かわいくなんか……見ないでよ」
私は赤くなっているであろう顔を両手で覆った。
熊野は私に近寄って、また手首を掴んだ。
「隠すな。見せろって」
「やだ、恥ずかしい……」
こんな顔をじっくり見られるのは、絶対イヤだ。
背中を向けた途端、手首を掴まれた。
ああ……やばい。
知奈……どうしよう。
この場にいない知奈に助けを求める。しかし、そうそう都合よく現れない。
私は振り返らないで「何?」と訊いた。
「途中まで一緒に行かせてよ」
「途中?」
予想していないことを言われて、振り向いて熊野の手を払った。
熊野は私を真っ直ぐと見据える。胸の内を探るような強い眼差しだったが、不意にその力が緩んだ。
「ああ、加納の行くところの前まででいいよ」
「でも、すぐそこだよ?」
「すぐそこでもいい。加納と少しの時間でも一緒にいたい。いいだろ?」
一緒にいたいとは、甘い誘い文句だ。私の顔は急速で熱くなった。
その時、熊野の瞳が揺れる。
「なんだよ、その反応。かわいいんだけど」
「えっ、かわいくなんか……見ないでよ」
私は赤くなっているであろう顔を両手で覆った。
熊野は私に近寄って、また手首を掴んだ。
「隠すな。見せろって」
「やだ、恥ずかしい……」
こんな顔をじっくり見られるのは、絶対イヤだ。