優しくない同期の甘いささやき
取引先の会社で姉の知り合いと会うとは思いもしていなかった。
驚きながら、山岡さんの顔をまじまじと見た。過去に見たことのあるような笑顔だ。
板野さんが割って入る。
「山岡くん、加納さんのお姉さんと付き合っていたんじゃないの?」
「ええっ? どうして分かったんですか?」
「だって、美希って親しげに言ってたからね」
山岡さんは「ああっ!」と動揺した。その様子に熊野と顔を見合わせて、笑う。
山岡さんと板野さんの話し方から、山岡さんの方が後輩のようだ。
「どこかでお会いしたことがあるような気がしたのですが、たぶん姉から写真を見せてもらったことがあると思います」
「もう10年以上も前のことですから、覚えていないのは当然ですよ。私も今、妹さんがいたと思い出しました。美希は元気ですか?」
「はい、二年前に結婚して旦那さんと楽しそうにしていますよ」
「そうか……結婚したんだ……」
少々しんみりする山岡さんの肩を板野さんが叩いた。
「残念だったな。さて、気持ちを切り替えて、打ち合わせだ」
「はい。すみません……情けない姿をお見せしてしまって」
恥ずかしそうに言う山岡さんに私と熊野は「いえいえ」と答えた。
驚きながら、山岡さんの顔をまじまじと見た。過去に見たことのあるような笑顔だ。
板野さんが割って入る。
「山岡くん、加納さんのお姉さんと付き合っていたんじゃないの?」
「ええっ? どうして分かったんですか?」
「だって、美希って親しげに言ってたからね」
山岡さんは「ああっ!」と動揺した。その様子に熊野と顔を見合わせて、笑う。
山岡さんと板野さんの話し方から、山岡さんの方が後輩のようだ。
「どこかでお会いしたことがあるような気がしたのですが、たぶん姉から写真を見せてもらったことがあると思います」
「もう10年以上も前のことですから、覚えていないのは当然ですよ。私も今、妹さんがいたと思い出しました。美希は元気ですか?」
「はい、二年前に結婚して旦那さんと楽しそうにしていますよ」
「そうか……結婚したんだ……」
少々しんみりする山岡さんの肩を板野さんが叩いた。
「残念だったな。さて、気持ちを切り替えて、打ち合わせだ」
「はい。すみません……情けない姿をお見せしてしまって」
恥ずかしそうに言う山岡さんに私と熊野は「いえいえ」と答えた。