優しくない同期の甘いささやき
納得していると、熊野はマンションの前を通りすぎていく。私は、早歩きで付いていった。
そこから5分の距離にあった高級そうなスーパーに入る。
店内はそれほど混雑していなくて、上品そうな女性客や上質そうなスーツ姿の男性客が多かった。
みんな優雅に買い物をしているように見える。
場違いだ……。
物怖じする私を置いて、熊野は茶色の買い物かごを持った。
堂々としている熊野はこのスーパーに溶け込んでいるように思えた。彼に近づいて、小声で尋ねる。
「よく来るの?」
「まさか、来ないよ。いつもは、もう少し先に行った庶民的なスーパーに行ってる。ここは二回目かな」
「そうなの? その割には慣れてる感じで、すいすいと進んでいくよね?」
熊野は精肉売場の前で止まって、フッと顔を緩めた。
そういえば、店内に入ったときから真顔だった。
あれ? 緊張していた?
「一応さ、見栄はりたいじゃん。庶民がこんなとこ来るなよと思われたくないからね」
それを聞いて、私もそっと笑った。こういう場所では、大笑いしてはいけない。みんな静かに買い物しているもの。
そこから5分の距離にあった高級そうなスーパーに入る。
店内はそれほど混雑していなくて、上品そうな女性客や上質そうなスーツ姿の男性客が多かった。
みんな優雅に買い物をしているように見える。
場違いだ……。
物怖じする私を置いて、熊野は茶色の買い物かごを持った。
堂々としている熊野はこのスーパーに溶け込んでいるように思えた。彼に近づいて、小声で尋ねる。
「よく来るの?」
「まさか、来ないよ。いつもは、もう少し先に行った庶民的なスーパーに行ってる。ここは二回目かな」
「そうなの? その割には慣れてる感じで、すいすいと進んでいくよね?」
熊野は精肉売場の前で止まって、フッと顔を緩めた。
そういえば、店内に入ったときから真顔だった。
あれ? 緊張していた?
「一応さ、見栄はりたいじゃん。庶民がこんなとこ来るなよと思われたくないからね」
それを聞いて、私もそっと笑った。こういう場所では、大笑いしてはいけない。みんな静かに買い物しているもの。