優しくない同期の甘いささやき
熊野は私を起こして、ため息をつく。


「とことん、焦らすよな」

「そんな! 焦らしてないよ」


焦らしているつもりはない。急なことに心が追い付いていかないだけだ。

熊野の手が私の頭を撫でた。


「わかってる。でもさ、あまり長くは待てない。どのくらい待てばいい?」

「どのくらい?」

「いつまで待てばいい? 何日? 言っとくけど、何か月も待てないからな」

「そんなの答えられないよ」


顔が熱くなった。何日まで待ってとか、決められない。

そういうことに期限はないと思う。

決めたら……その決めた日が来たら、さあやろうとなるの?

やだ、あり得ない。

ブンブンと横に首を振る私に、熊野はまた変なことを言った。


「好きな女を抱きたいと思うのは、当然の心理だと思わないか?」


今度は何を訊いてきた?

私は、曖昧に「そうね」と返した。

しかし、否定しなかったから、同意を得られたと判断したようだ。


「美緒も好きなら、抱かれたいだろ?」

「えっ、そ、それは……」
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