優しくない同期の甘いささやき
どこまで話すべき?


「健人さん、ひとりじゃなかったよ。女の人といた」

「そう……あの人と話したの?」

「うん……お姉ちゃんと別れるって、言ってた」


姉は瞳を揺らして、私を見つめた。辛そうに顔を歪める。

話しすぎると姉の心はさらに傷付くかもしれない。

少しずつ、話した。止められたら、話すのをやめようと思った。


「健人さんと別れるの?」


姉の目からは今にも涙がこぼれ落ちそうだ。姉はそれを堪えて、ポツリと呟いた。


「わからないの……なんでなのか……」

「お姉ちゃん……」

「私、何もしていないのに……裏切られた」


姉の悲しみが伝わってきて、心がズキッと痛んだ。姉はゆっくりと身に起きたことを話した。

健人さんの出張が多くなったのは、仕事が忙しいからだと疑いもしなかったそうだ。

そんな姉のところに、かつての同僚から連絡が来た。取引会社の社長の娘と浮気しているようだと……。

最初聞いた時は信じられなかったが、出張日に出張に行ってないことが判明し、健人さんに聞いたら、あっさりと浮気を認めたそうだ。
< 97 / 172 >

この作品をシェア

pagetop