500文字恋愛小説
№101 スランプ
私の前には真っ白な画面。
カーソルは一文字目で点滅している。

「なあ。
書いてないなら夕食作ってくんない?」

いつもなら今書いてるの!と突っぱねるところだけど、これ以上パソコンの前に座っていてもなにも出てきそうにない。
諦めてキッチンへ行くと、彼の並んで横に立った。

「なに?」

「一緒に作る」

さよで。
メニューなんて思い浮かばないし、今日はナポリタンでいいかな。

私が切った具材を彼が炒める。

「てか、でかくね?」

「うっさい」

文句を言いつつ、彼は笑っている。
そういえば、こんなふうに彼と話すのはひさしぶりだ。

「なんか、ごめん」

「別に?」

意地悪く彼が笑い、スラップは脱した気がした。
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