500文字恋愛小説
№13 初詣
お母さんに頼んで、着物を着せてもらった。
一年の初め。
彼には一番の私を見てもらいたい。

「あけましておめでとう」

「あけまして、おめでとう」

待ち合わせ場所にいた彼は、私を見るとすぅーっと視線をそらした。
……あれ?反応悪いな。

「行こうか」

「うん」

なぜか、いつもよりゆっくりと歩く彼。
もしかして、着物の私に気をつかってくれてる?

「階段、大丈夫か?」

「うん。
大丈夫」

目があうと、またそらされた。
でも、彼の顔は少し赤くて。

「ねえ。
なんか照れてる?」

「……だって着物のおまえ、綺麗すぎだろ」

綺麗といわれて顔が熱くなった。
黙って俯いてしまった私と、そっぽを向いている彼。
そっと手が握られて、さらに顔が熱くなった。
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